大掃除での歯ブラシ使用時の注意点
いよいよ年末が近づき、大掃除を始めたご家庭も多いのではないでしょうか?
テレビなどでも「大掃除特集」が放送される時期と思われます。
実は昨年の「大掃除特集」を見て、実に1年間も気になっていたことがありましてね。
昨年の12月、北海道で放送されている夕方ワイド番組の一つが「大掃除特集」を放送していたのですが、その際、スイッチ部分や細かいところなどには「使い古しの歯ブラシ」を使うと取れやすい、としていました。
これを見たとき、「ウェ!!」となってしまいましてね。
歯医者の立場で言えば、絶対おすすめしません。
理由は皆さんもお気づきかと思いますが、「使い古した歯ブラシ」だからです。
当然のように口の中の細菌がついているわけでして。
それで家の各所を掃除したとなると、細菌を塗りたくっているようなもんです。
まあ、だからと言って大騒ぎするほどのことではないのかもしれませんが・・・・。だって、おそらくこれまでも使用済み歯ブラシを掃除に使用してきた方って、多いと思うんですよね。
でも、やはりお勧めできません。ましてや今年は昨年と状況が異なり、一層の衛生環境が求められていますし。
でも、ですね、だからといって「掃除のときは歯ブラシを使うな!」というわけではないんです。
歯ブラシは細部清掃に便利です。お風呂のカビなんかは床と壁の境目の隅にできやすいし、掃除しずらいですよね。こんなところは歯ブラシが役に立ちます。
そう、新品の歯ブラシをお使いください。
ただ!
ここでもご注意いただきたいのですが、使う歯ブラシの毛の堅さには要注意です。
「かため」の歯ブラシだと、プラスチックや柔らかい素材をゴシゴシすると傷がつくかもしれません。「かため」はそのくらい堅いのです。
また一緒に使用する洗剤も、種類によっては傷をつけてしまうかもしれない。
洗剤の中に入っている研磨剤ですが、これはストレートにいってしまえば「砂」なんですよね。非常に細かい砂。で、汚れがあるところを砂で磨くと色は落ちますが、表面もざらざらになりやすい。もちろん、そうならないくらいの大きさが商品として流通していると思いますが。
でもですね、スポンジなどと使用しても問題のない研磨剤でも、上記の「かため」の歯ブラシと一緒に使うと、傷がつきやすくなってしまう可能性があります。
焦げがついてしまった食器などにはいいかもしれませんが。
ちなみにこれはひところ巷で流行った「重曹で歯を磨くと美白効果がある!」の理屈でもあります。要は重曹のつぶつぶを歯ブラシで磨いているので歯の表面が削れて下の白い面がでているのです。でも、削って出したので表面には傷が残り、その傷に色が浸透してしまうので、白くはなくけどかえって色が付きやすくなってしまう恐れがあります。
歯も風呂場の床も大して違いがいないのかもしれませんね。
じゃあ、何がおすすめか?やっぱり「ふつう」の硬さの歯ブラシがいいのではないでしょうか?
無難だと思います。ただ、研磨剤が多い洗剤だと傷がつくかもしれません。
まとめると、頑固な汚れには「かため」の歯ブラシ、アカこすりなら「ふつう」の歯ブラシがおすすめ。「ふつう」で取れなければ「かため」をためしてみましょう。
また、ここでも「使用する順序」にはご注意を。一般的に水回りが一番汚れが多くあるとされています。
なので風呂場や台所で歯ブラシを使って、その後、スイッチ回りなどをやろうとすると水回りの汚れや細菌がついてしまうかもしれません。
逆に、スイッチ回りなど比較的「キレイな場所」を清掃した後に水回りの清掃をすることをお勧めします。
歯科医院でも医療機関でも、「キレイな方から汚いほうへ」が清掃の基本とされていますし。(そっすよね?)
昨年まではこの辺のことに無関心であった方も多かったと思われます。
しかし、今年の「大掃除」は普段とは異なります。
歯ブラシを賢く使って、ご家庭の衛生レベルを引き上げましょう!
追記
昔、ディスカバリーチャンネルを見ていたら、アメリカの普通の家庭の家の中の細菌を調べる、という番組がやっていまして。
で、アメリカって、トイレとお風呂、洗面所が一体になったところが多いようで(住んだことないからわからない)、その時に訪問した家もトイレと風呂、洗面所が一緒のタイプだったのですが、その洗面所に置いてあった歯ブラシの細菌を調べたところ、大腸菌が検出されていました。そこのご家庭には12歳くらいの女の子がいたのですが、大ショックを受けていて、失礼ながら笑ってしまった。
日本ではトイレと洗面所は別なんで、その心配はないと思う。一体型にお住いの方は要注意を!
・・・・・・・これもアジアと欧米でのコロナ患者の数に差があることの理由の一つなのでしょうか?